2016/08/09 14:58
こんにちは~!
名和里商事です。
皆さまお仕事お疲れ様でございます。
この度も、眼科医の本部先生からの内容を掲載したいと思います。
よろしくお願い致します。
(ほんべ眼科院長 本部千博 先生)
☆ 眼球が前後に伸びて楕円形になる
過矯正の眼鏡を使い続けると、軽い近視になるばかりか、さらに重い近視を招く危険が大きくなります。
軽い近視であれば、ピント調節筋である毛様体筋の緊張を取ることで、元の視力に戻せます。
しかし、、毛様体筋が硬直した状態を放置して軽い近視になっているのに、なお過矯正の眼鏡を使い続
けていると、近視がさらに悪化して、強度近視(視力がおよそ0.04未満)にまで進行してしまうことも
あるので、注意が必要です。
これは、毛様体筋の緊張状態が長引くと、毛様体筋の硬直が強まることに加え、眼球が前後に伸びて変
形してしまうために起こります。眼球の中には、角膜や水晶体を通過した光が入ってきます。そして、
水晶体の働きによって、網膜で丁度ピントが合うように屈折します。ところが、眼球が変形すると、水
晶体で屈折を調節しても、網膜できれいに像を結ぶことができなくなってしまうのです。
このように、眼球が変形して起こる近視を軸性近視といいます。軸性近視は、眼球が前後に伸びてラグ
ビーボールのような楕円形(だえんけい)になり、眼軸(がんじく)『角膜から網膜までの距離』が伸
びることが原因で起こります。眼軸が伸びると、網膜できれいに像を結べなくなってしまうのです。
☆ 毛様体筋の硬直で眼球の水分が増え変形
では、なぜ眼軸が伸びてしまうのでしょうか。
すでに述べたように、近くのものを見るときには、水晶体を厚くするために、毛様体筋が強く緊張しています。
度の強い眼鏡をかけていれば、毛様体筋はさらに強く緊張し、大変な負担がかかります。
この状態が続くと、角膜や水晶体にさまざまな疲労物質が蓄積してしまいます。すると、疲労物質を排出するた
めに、房水が活発に分泌されるようになります。房水というのは毛様体筋から分泌される透明の液体で、角膜や
水晶体に酸素や栄養を与える重要な役割を担っています。普段は一定の量で分泌・排出され、眼圧を調節してい
ますが、分泌過多になると眼圧が上がり、眼軸が伸びて軸性近視を招くのだと考えられます。
軸性近視になると、視力を回復させるのが難しくなります。ですから、軽い近視の段階で、出来るだけ毛様体筋
の緊張を取り除くようにしておくことが重要です。そこで、次の内容からは、毛様体筋に負担をかけない方法や、
緊張を取り除く方法について解説したいと思います。
☆ ピント調節筋の緊張を防ぐには眼鏡の使い分けが肝心で、近く用なら弱い度、遠く用なら強い度にせよ!
● 状況に応じて眼鏡を使い分ける
近視の進行を食い止めるには、ピント調節筋である毛様体筋を緊張させ過ぎないことが一番です。しかし、近視の
人の多くは、近くばかりを見る生活を送っているにもかかわらず、過矯正の眼鏡をかけても毛様体筋に負担をかけ
続けています。実際、生活のほとんどの場面では1.0を超えるような視力は必要ありません。それなのに、近視にな
って眼鏡を作るとなると、できるだけ視力を上げたいと思うせいか、矯正後の視力が1.0を超えるような眼鏡を作っ
てしまいがちです。1.0を超えるような矯正の眼鏡は、生活するうえでは過矯正となってしまう場合が多く、毛様体
筋への負担も大きくなってしまうのです。私は、眼鏡をかけずに生活した方が、毛様体筋に負担がかからないため、
近視の進行防止には良いと考えています。ところが、裸眼で生活しようと思っても、実際にはなかなか難しいもの
があります。例えば、車の運転時や火を使う調理時などは、どうしても眼鏡が必要ですし、強度近視(視力がおよ
そ0.04未満)の人には、眼鏡が不可欠です。
そこで、近視は進行させたくないけれど、眼鏡を利用したいという人におすすめなのが、眼鏡の使い分けです。つ
まり、近くを見る場合には、できるだけ度の弱い『近く用眼鏡』を使い、逆に遠くを見る場合には少し度が強めの
『遠く用眼鏡』を使うようにすれば良いのです。
例えば、パソコンなどで作業する時には近く用眼鏡を、遠くにある文字を読むなどの機会の多い外出時や車の運転
時には遠く用眼鏡を利用するのです。このように、状況に応じて眼鏡を使い分ければ、毛様体筋への負担が軽減さ
れ、近視の進行を防ぐことが出来るでしょう。
☆ 近くを見るなら視力0.3~0.4で十分
近く用眼鏡と遠く用眼鏡の度数をどのくらいに設定すれば良いかについては、その人の生活パターンや仕事内容な
どで変わってくるので、眼科医と相談して決めてください。一般に、近く用眼鏡は視力が0.3~0.4程度になるよう
に矯正しておくことをおすすめします。この程度の度なら、読書などをするにも過矯正にならず、毛様体筋に負担
がかかりません。また、遠く用眼鏡は視力が0.7~0.8程度になるように矯正しておけば十分です。
眼鏡を作るには、遠くをはっきり見ることばかりにこだわらず、このように自分の生活に合わせて眼鏡を使い分け
ることが大切です。眼鏡に合わせて目を酷使するのではなく、目の負担を軽くするために眼鏡を賢く使い分けるよ
うにしてほしいと思います。
以上、本部千博 先生からの内容でした。